【温故知新 】
HONDA・BMW・YAMAHA

HONDA: 1975 CB750FOUR K0 / 2017 CB1100EX

CB1100はK0を超えたか
現行のオートバイはテイストがなくてつまらない、そんな声を聴くことは少なくない。ある意味それは事実でもあるだろう。バイクに限らず多くの工業製品はテイストと引き換えにスムーズで、トラブルフリーで、万人が操れる親和性を手に入れた。しかしCB1100は違う。排気音とフィーリングを追求した威風堂々の走りは、まさしくK0を彷彿させていた。

血を揺るがすような空冷のフィーリング
オートバイやクルマの最大の魅力はエンジンの躍動感だと思う。エンジンのフィーリングが面白くないものになど乗りたいとも思わない。普段から思っていることなのだが、K0のようなマシンに乗るとそのことを痛感する。
エンジンを始動すれば腹に響く重低音を立てて重々しく吹き上がる。セルを押してエンジンが動き出すこの瞬間のドラマチックさは素晴らしい。今まで散々乗ってきて、どんな排気音でどんな風に始動するのか分かっていてもワクワクしてしまう。そしてクラッチをつなげば、この排気音と太い低速トルクを感じながら悠々と走ることができる。セコセコ飛ばして走ろうなどという気持ちにはまったくならない。
速度を上げていけばスピードによる興奮は増えるのだけれど、ただそれだけでエンジンからの刺激はあまり増えない。K0の迫力ある低中速のフィーリングは、スピードなどで得られる快感に比べて圧倒的に大きいということだ。だからスピードなど出さなくても満足できてしまう。

BMW: 1973 R90S / 2017 R nine T

フラットツイン、変わらぬ本質
いまや世界的なカスタムビルダーとして活躍する46ワークスの中嶋志朗。実はクラブマン出身の彼が、新旧フラットツインの温故知新を語る。

スターターボタンを押すと、重くて少し長めのクランキングの後、身震いするように車体を右に傾けつつエンジンが目覚める。1970年代中盤のモデルであるR 90Sの場合は、ガソリンコックを開けたりチョークを引いたり、セルを回す時にほんの少しアクセルを開けたりという「儀式」が必要で、 一 方現行モデルのR nine Tはキーをひねってスターターボタンを押すだけという違いはあるものの、始動する瞬間の所作は約40年の隔たりを感じさせず、共通だ。もし目隠しをされたとしても、始動すれば「これはBMWである」と確実に分かる個性が、両車フラットツインエンジンにはある。

YAMAHA: 1978 SR400

必要にして、十分
40周年を目前にして長き歴史に幕を閉じたSRをあらためて走らせた。時に激しく、時にのんびりとビートを打つエンジンの息吹を全身で感じながら。

「エンスージアスティック・モーターサイクルマガジン」を標榜し、大人のオートバイ誌として1986年に創刊したクラブマン20余年の歴史は、ヤマハSRとともにあったと言ってよい。特にレーサーレプリカ全盛時代にそれに背を向け、シングル、ツイン、クラシックを3本の柱とした“テイストある”オートバイを取り上げた初期のクラブマンでは、時を同じくして巻き起こったSRブームをけん引する役割を果たしていたと自負している。ノートン風、AJS7R風、ドゥカティ風、様々なカスタムSRが生まれ、様々なパーツがリリースされた、SRの黄金時代であった。
同時にSRはテイストやカスタムだけが魅力のオートバイではない。
BOTT=バトル・オブ・ザ・ツインズやTSOS=ザ・サウンド・オブ・シングルスといったサンデーレースが大人気となり、単気筒のみで争われるレースにはアマチュアレーサーたちが大挙して出場。 一 番人気はやはりSRだったし、国際A級ライダーを含むエキスパートライダーたちが高次元のバトルを展開するクラスでも、DOHC4バルブのホンダGBやスズキグース、ロータックスのレーシングマシンに混ざってSRは数々の栄冠を手にしている。

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