「俺たちは夢を売るんだ」
僕が編集部に来た頃、初代編集長の小野勝司がこう言った。
小野は色々なショップの人達のところに出かけていって新しいプロジェクトをスタートさせて戻って来た。その話が育っていつか企画となる。

雑誌を作るという以前に、バイク好きな仲間と夢を育てるところから始めていたのだろう。
カフェレーサーの美しさを伝えるために新しい提案ができないものか？

そんな問いかけに応えてくれた46ワークスとガレージクライム。

それぞれが新しいコンセプトで製作していたレーシングマシンに保安部品を装着し、カフェレーサーに仕立ててくれたのだ。

撮影前からマシンを見るのが楽しみだった。

現車を見て唸り、撮影後に写真をあらためて見て格好良さに惚れ惚れし、こんなオートバイでストリートを走ってみたいと思った。

二台は撮影後、元のレーシングマシンの姿に戻される。

これはたった一日だけ形になった夢なのだ。

MOTO GUZZI：V7 Sport by a 46works

デイトナに思いを馳せる
このＶ７は、オーナーである佐藤成彦氏がデイトナで行われているクラシックバイクレースへの参戦を夢見て46ワークスに製作を依頼した車両だ。そのため排気量も現地のレギュレーションにあわせ７５７㏄としたままチューニングが施されている。46ワークスでワンオフ製作したタンクシートはスタンダードのフォルムを残しつつもコンパクト＆スタイリッシュ。左右二本出しのチタン製ショートメガホンマフラーを装着してクラシカルながら新しさを漂わせた美しいスタイルを作り出している。

RICKMAN CR HONDA by GARAGE CLIMB

リックマンの新しい提案
ガレージクライムはＯＨＣのＣＢ専門ショップだ。代表の枝根氏は自らＣＢ７５０を駆りＬＯＣなどのクラシックバイクレースに出場している。ＣＢでサーキットを走る場合、ネックになるのが車体。剛性が必ずしも高くないこともあって高速コーナーで振られたりする。高速の富士スピードウエイではこれが顕著になるため考えたのがリックマンフレームでマシンを作ることだった。